〜 遺伝性疾患について 〜


遺伝性疾患とは、名前の通り先祖から子孫へ遺伝する疾患です。
遺伝の形式は様々ですが、原因となる遺伝子がわかっている疾患はほとんどありません。
そのため遺伝性疾患を減らすには疾患の発症していないもの同士を交配させていくことが、とても重要になります。
ですが遺伝性疾患には、発症していなくても疾患の遺伝子を持っていて、疾患遺伝子を子孫へ伝えてしまう事があります。
そのため、疾患遺伝子を持つものも交配させる際に除外していかないと遺伝性疾患を減らしていくのは困難です。
ここでは、ミニチュアシュナウザーに関する遺伝性疾患についてお話ししたいと思います。
シュナウザーにも多く見られる遺伝性疾患がありますが、その中の、目の病気について紹介します。



*先天性白内障
白内障には、ケガによって発生するものや、加齢と共に進行していくものなどがありますが、シュナウザーに最も多いのは遺伝性の白内障(先天性白内障)です。水晶体の一部、または全部が白濁し眼底が見えなくなると失明します。
(年をとってくると、水晶体の中央が青白く見えるようになる事がありますが、これは老化現象の一つで水晶体は混濁しますが視覚を失う事はない為、白内障とはいわず『核硬化症』と呼ばれます。いずれにしても眼科の専門医に見てもらうのが良いと思います)


*進行性網膜萎縮症(PRA)
光を感知する網膜が退化し失明する遺伝的な目の病気です。多くの犬種で見られる病気でシュナウザーにも見られます。白内障を合併する事もあります。
現在治療法は無く、予防する術としては選択繁殖をするしかありません。PRAに関しては現在DNAによるテストでキャリアを見分け、予防する事ができます。
以下で詳しく説明したいと思います。



テストの結果は3種類に分けられます。

■ノーマルクリア
PRAの可能性は100%ありません。これから発症する事も無く、次世代にこの病気を引き渡す可能性もありません。

■キャリア
PRAは発症しませんが、遺伝子の組み合わせの片方にPRAの因子を持っています。ノーマルクリアの犬と交配する事によって、次世代にこの病気を発症する事を防ぐ事が出来ます。

■アフェクテッド
遺伝子の組み合わせの両方にPRAの遺伝子を持っていて、発症する可能性があります。ノーマールクリアの犬と交配する事によって病気の発症を防ぐ事は出来ますが、交配は避けるべきだと思います。

ノーマルクリア ○○ キャリア ○● アフェクテッド ●●
○○ ○○ ○○ ○● ○● ○●
○○ ○○ ○○ ○● ○● ○●
○● ○○ ○○ ○○ ○● ○● ○●
○● ○● ○● ●● ●● ●●
●● ○● ○● ○● ●● ●● ●●
○● ○● ○● ●● ●● ●●

水色の部分では、PRAが発症する子は産まれません。
ピンクの部分では、25%の確立でアフェクテッドが産まれます。
茶色の部分では、50%の確立でアフェクテッドが産まれます。
グレーの部分では、全ての子がアフェクテッドになります。


PRAは、両親から疾患遺伝子を1つづつ貰わないと発症しません。PRAを発症した子犬の親は母犬、父犬共にキャリア又はアフェクテッドという事になります。
また、片方の親がPRAを発症している場合は、疾患遺伝子を2つ持っていることになるので、その子供は必ずキャリアかアフェクテッドになります。
どんなに気をつけて繁殖をしても、リスクのある子犬が生まれてくることを完全に防ぐ事はできません。
しかし、私たちが気をつけることで防ぐ事の出来る病気もあります。
少しでもリスクのある子犬が生まれてくるのを防ぐ為には、正しい知識が必要です。
私達はこれから産まれてくる子犬たちの為にも、次世代に発症する子が生まれない様に、ブリーディングをしていかなければなりません。


DNA検査機関 ・・・ GTG

札幌市でのアイチェックを行っている病院(比較眼科学会 専門医) ・・・ 現在リンクの了承を取っています。